はじめに
不動産の親族間売買を検討されている皆様、こんにちは。
「親が住んでいる家の土地(底地)が親戚の名義になっている」「将来のために土地を買い取っておきたいが、住んでいる親は無職でローンが組めない」といった複雑なご相談を、当事務所では数多く承っております。
特に、「叔母から姪へ」という親族間での売買は、銀行から「贈与」や「マネーロンダリング」を疑われやすく、住宅ローンの審査難易度が非常に高いのが現実です。また、価格設定を誤ると、後から多額の贈与税が課税されるリスクもはらんでいます。
今回は、石狩市花川にて実際にサポートさせていただいた、「無職の母親に代わり、娘(姪)が住宅ローンを組んで叔母から土地を買い取った実例」を、税務対策の裏側まで含めて詳しく解説します。
1. 実例の概要:石狩市での「底地」親族間売買
まずは、今回サポートさせていただいた案件の基本データをご紹介します。
| 項目 | 内容 |
| 物件所在地 | 石狩市花川南〇条〇丁目 |
| 物件種別 | 住宅の底地(土地のみ) |
| 土地面積 | 約70坪 |
| 売主・買主の関係 | 叔母(売主)と 姪(買主) |
| 売買金額 | 700万円 |
| 適正価格(時価) | 1,200万円(路線価および当所査定) |
| 住宅ローン借入額 | 765万円(諸経費込み) |
| 融資先 | 地元信用金庫 |
相談時の状況
石狩市花川にある戸建住宅。建物には相談者様が建物の所有者である母親と住んでいましたが、その下の「土地(底地)」は、母親の姉妹である叔母様が亡父から相続で取得し所有者となっていました。
叔母様から「土地を整理したい」と令和5年の初秋に申し出がありましたが、実際に住んでいる母親は無職でローンを組むことができません。そこで、将来の相続トラブル回避と住環境の維持のため、娘である相談者様(姪)が土地を買い取ることとなりました。
2. 実務の真骨頂:あえて「低額譲渡」を選択し贈与税を納税
本件の最大の特徴は、売買代金は、すでに700万円での合意ができていました。しかし、当事務所の路線価計算および市場査定による適正価格(時価)は1,200万円でした。
親族間売買において、時価より著しく低い価格での取引は「著しい低額譲渡」と呼ばれ、差額が「贈与」とみなされます。当事務所では、以下のスキームを構築しました。
① 税務署への事前確認
「後から指摘される」のが最も危険です。当事務所では、事前に税務署に対して、本件の取引構造と評価額の妥当性を確認。その上で、発生する贈与税をあらかじめ正確にシミュレーションして相談しました。
② 明確な贈与税計算の提示
買主(姪)に対し、税務署に同行し、以下の納税が必要になることを認識させ、資金準備を促しました。
- 計算式: 適正価格(1,200万円) - 売買金額(700万円) - 基礎控除(110万円) = 贈与対象額(390万円)
- 納税額: 390万円 × 税率20% - 控除25万円 = 贈与税額 53万円
この53万円という納税額は、融資の対象とはならないのですが買主様にとって「想定内のコスト」として準備され、実際に翌年、適正に贈与申告と納税を完了されました。この透明性こそが、税務当局や銀行からの信頼につながります。
4. 驚きの成果:円満な資産承継の実現
令和5年11月、無事に土地の所有権が叔母様から姪(相談者の娘さん)へと移転しました。
- 将来の相続リスクを完全払拭: 叔母様の名義のままでは、将来叔母様に相続が発生した際、底地の権利が親戚間で複雑化する恐れがありました。
- 戦略的な納税による「安心」の取得: 無理に「贈与税ゼロ」を狙って不自然な取引をするのではなく、あえて適正な納税を行うことで、税務署からの事後調査を恐れる必要のない「クリーンな資産」となりました。
5. 【実務家の視点】親族間売買を検討中の方へ
「親戚から安く譲ってもらえる」という話が出たときこそ、プロの出番です。
- 「みなし贈与」を逆算する: 納税額を事前に把握していれば、それは「恐怖」ではなく「計画的なコスト」になります。
- 銀行交渉は「ストーリー」が命: なぜこの関係性で、この人がローンを組むのか。論理的な説明資料がなければ住宅ローンは通りません。
- 税務署への事前相談を惜しまない: 実務実績のある専門家を通じることで、当局とのスムーズな対話が可能になります。
6. まとめ:複雑な不動産取引は「実績」で選ぶ
今回の事例は、石狩市というエリア特性と、親族間の複雑な事情、そして贈与税の実務が絡み合った難易度の高いものでした。
当事務所は、単なる不動産仲介にとどまらず、「税務リスクの計量化」と「銀行融資の出口戦略」をセットで提供することで、ご家族の資産を次世代へと繋ぎました。
当事務所からのメッセージ 「親族間売買は税金が怖い」「無職の親がいるからローンは無理」と決めつけないでください。正確な計算と誠実な申告、そして戦略的な交渉があれば、最善の解決策が見つかります。
(編集後記)
次のステップとして、私にできること
「親戚名義の土地を買い取りたいが、贈与税がいくらになるか不安」「住宅ローンが組めるか診断してほしい」といったご要望にお答えします。
もしよろしければ、今回の事例のように「贈与税の試算」を含めた「親族間売買トータルシミュレーション」をお手伝いしましょうか?
お気軽にご相談ください。札幌の不動産取引の専門家として、あなたの家族の資産を守るお手伝いをいたします。
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北海道の親族間売買については、次の公式ページで実務上の注意点まで解説しています。
→親族間売買の住宅ローン審査対策|否認回避・価格基準|北海道
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